二度と使われない事を願う核爆弾・・・その怖さを知っているのは日本人

1945年8月6日8時15分ヒロシマに原子爆弾が投下され80年

その記念式典の中継を見ていて・・・小学生二人の平和への誓い・広島県知事の挨拶が

印象的でした。

初めて広島平和記念資料館に行ったのは45年くらい前だったでしょうか、現在の資料館

の前の建物でしたが話でしか聞いていなかった私にはとても・・・・

それから仕事で数えきれないほど訪問する機会がありました。そして被爆者の方からの

お話しも何度も何度もお聞きしたものです。一瞬にして30数万の命が奪われた原子爆弾

シトランプが先日言った、広島、長崎の原爆投下が戦争を終わらせる事ができたという

正当化した発言・・・「だから戦争を終わらせるには使用する」ように聞き取れました。

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平和への誓い

いつかはおとずれる、被爆者のいない世界。
同じ過ちを繰り返さないために、多くの人が事実を知る必要があります。原子爆弾が投下

されたあの日のことを、思い浮かべたことはありますか。
昭和20年(1945年)8月6日 午前8時15分。
この広島に人類初の原子爆弾が投下され、一瞬にして当たり前の日常が消えました。
誰なのか分からないくらい皮膚がただれた人々。
涙とともに止まらない、絶望の声。
一発の原子爆弾は、多くの命を奪い、人々の人生を変えたのです。
被爆から80年が経つ今、本当は辛くて、思い出したくない記憶を伝えてくださる被爆者の

方々から、直接話を聞く機会は少なくなっています。
どんなに時が流れても、あの悲劇を風化させず、記録として被爆者の声を次の世代へ語り

継いでいく使命が、私たちにはあります。世界では、今もどこかで戦争が起きています。
大切な人を失い、生きることに絶望している人々がたくさんいます。

その事実を自分のこととして考え、平和について関心をもつこと。
多様性を認め、相手のことを理解しようとすること。
一人一人が相手の考えに寄り添い、思いやりの心で話し合うことができれば、傷つき、

悲しい思いをする人がいなくなるはずです。
周りの人たちのために、ほんの少し行動することが、いずれ世界の平和につながるのでは

ないでしょうか。
One voice.
たとえ一つの声でも、学んだ事実に思いを込めて伝えれば、変化をもたらすことができるは

ずです。
大人だけでなく、こどもである私たちも平和のために行動することができます。
あの日の出来事を、ヒロシマの歴史を、二度と繰り返さないために、私たちが、被爆者の方々

の思いを語り継ぎ、一人一人の声を紡ぎながら、平和を創り上げていきます。

令和7年(2025年)8月6日
こども代表
広島市立皆実小学校6年 関口千恵璃
広島市立祇園小学校6年 佐々木駿

湯崎英彦知事あいさつ文より

核抑止が益々重要だと声高に叫ぶ人達がいます。しかし本当にそうなのでしょうか。

確かに、戦争をできるだけ防ぐために、抑止の概念は必要かもしれません。一方で、

歴史が証明するように、ペロポネソス戦争以来、古代ギリシャの昔から、力の均衡に

よる抑止は繰り返し破られてきました。なぜなら、抑止とは、あくまで頭の中で構成さ

れた概念又は心理、つまりフィクションであり、万有引力の法則のような、普遍の物理

的真理ではないからです。

自信過剰な指導者の出現、突出したエゴ、高揚した民衆の圧力。あるいは誤解や錯誤に

より抑止は破られてきました。我が国も、力の均衡では圧倒的に不利と知りながらも、

自ら太平洋戦争の端緒を切ったように、人間は必ずしも抑止論、特に核抑止論が前提と

する合理的判断が常に働くとは限らないことを、身を以て示しています。

実際、核抑止も80年間無事に守られたわけではなく、核兵器使用手続きの意図的な

逸脱や核ミサイル発射拒否などにより、破綻寸前だった事例も歴史に記録されています。

国破れて山河あり。

かつては抑止が破られ国が荒廃しても、再建の礎は残っていました。

国守りて山河なし。

もし核による抑止が、歴史が証明するようにいつか破られて核戦争になれば、人類も

地球も再生不能な惨禍に見舞われます。概念としての国家は守るが、国土も国民も

復興不能な結末が有りうる安全保障に、どんな意味があるのでしょう。

抑止力とは、武力の均衡のみを指すものではなく、ソフトパワーや外交を含む広い

概念であるはずです。そして、仮に破れても人類が存続可能になるよう、抑止力から

核という要素を取り除かなければなりません。核抑止の維持に年間14兆円超が投入さ

れていると言われていますが、その十分の一でも、核のない新たな安全保障のあり方を

構築するために、頭脳と資源を集中することこそが、今我々が力を入れるべきことです。

核兵器廃絶は決して遠くに見上げる北極星ではありません。被爆で崩壊した瓦礫に挟ま

れ身動きの取れなくなった被爆者が、暗闇の中、一筋の光に向かって一歩ずつ這い進

み、最後は抜け出して生を掴んだように、実現しなければ死も意味し得る、現実的・具体的目標です。

諦めるな。押し続けろ。進み続けろ。光が見えるだろう。

そこに向かって這っていけ。

這い出せず、あるいは苦痛の中で命を奪われた数多くの原爆犠牲者の無念を晴らすため

にも、我々も決して諦めず、粘り強く、核兵器廃絶という光に向けて這い進み、人類

の、地球の生と安全を勝ち取ろうではありませんか。

広島県として、核兵器廃絶への歩みを決して止めることのないことを誓い申し上げて、

平和へのメッセージといたします。

令和7年8月6日

広島県知事 湯崎英彦