戦後に柴犬を復興させた・・・小布施町
昨日の信濃毎日新聞・・・
柴犬の源流は信州にあり―。世界中で人気が高まっている柴犬。その全てに、
戦後に上高井郡小布施町で飼育されていた雄犬「中(なか)」の血が流れているという
縄文時代から続く土着犬の姿を残しているのが特徴で、原産国は日本です。
1800年代後半から欧米の犬種との雑種化により頭数が減りましたが、愛好家が小型の
日本犬を集めて保存活動を開始。 「小さなもの」を意味する「しば」から「柴犬」と
名付けられ、1936年に天然記念物に指定されました。
柴犬のルーツは昭和初期に島根県益田市美都町にいた石州犬の「石(いし)」であることが
判明しています。 石号は下山信市さんという猟師に飼われ猟犬として活躍していましたが、
1936年、石号が五歳の時に貴重な純粋日本犬として見出され東京へ渡りました。
島根の山奥から東京へと移った「石」は、1936年の日本犬保存会第5回展覧会で入賞を
果たします。別の飼育者の元へと譲り受けられ種犬となり、
1939年には四国産のメス「コロ」との間にオスの「アカ」をもうけます。
「アカ」の子ども同士を親として、オスの「中」(=「アカ」の孫)が1948年に誕生。
この「中」は、様々な展覧会で最優秀賞を獲得し、「戦後柴犬中興の祖」と呼ばれます。
評価の高かった「アカ」「中」の一族は次々と子孫を繁栄させ、戦後に流行した感染症にも
負けず生き残った結果、現在の柴犬の全ては「アカ」「中」の先祖である「石」の血統を
受け継ぐことになったのです。
もちろん「石」にもその祖先はいます。日本犬保存会に残る血統書には、「石」の両親は
ともに島根出身の父「久原」、母の「コチ」との記載があります。しかし、それ以上、両親
やその先祖に関する詳しい情報は残っていません。詳しい情報が残っている柴犬の最古の
祖が「石」というわけです。
2000年代に入ってから犬のゲノム解析研究が進み、アメリカの大学チームが
5,000頭以上の犬の遺伝子を調査した結果、柴犬がオオカミとの類似性が高い
遺伝子を最も多く持ち合わせていることが判明しました。
また、犬とオオカミは絶滅したと考えられる共通の祖先から分岐した亜種で
あることが研究で明らかになっています。ユーラシア大陸の東側のイヌの
ゲノムには、ニホンオオカミの祖先のゲノムが含まれていることも分かって
います。
実はあまり知られていない? 柴犬のルーツ
柴犬の起源は古く、縄文時代の遺跡から発掘された「縄文犬」が、柴犬の先祖だと考えら
れています。遺跡の歯の状態などから生前は狩猟犬であったことがうかがえ、丁寧に埋葬
された形跡があることから、昔から人間のパートナーだったと考えられています。
その後、明治から大正にかけ、イギリスから狩猟用に輸入された洋犬が流行となって
交雑化が始まりました。昭和のはじめには純粋な日本犬は絶滅の危機に瀕したため、
保護活動が起こりました。
現在、日本で飼育されている日本犬種の頭数の80%位を柴犬が占めています。
柴犬という呼び名は中部(岐阜から長野の山間部)地方で猟のために飼育されていた
小型の赤褐色の日本犬の俗称として使われていたもので、「柴」には「小さい」という
意味があります。柴犬は日本古来の犬種として貴重な国の文化財のひとつ